Firebase Crashlytics のクラッシュ レポートのカスタマイズ

このガイドでは、Firebase Crashlytics SDK を使用してクラッシュ レポートをカスタマイズする方法を説明します。デフォルトでは、Crashlytics は自動的にアプリの全ユーザーを対象にクラッシュ レポートを収集します(自動クラッシュ レポートを無効にして、ユーザーに対してオプトイン レポートを有効にすることもできます)。Crashlytics には、カスタムキーカスタムログユーザー ID検出された例外という、設定不要な 4 つのロギング メカニズムが用意されています。

カスタムキーを追加する

カスタムキーを使用して、クラッシュにつながったアプリの特定の状態を把握できます。任意の Key-Value ペアをクラッシュ レポートに関連付けてから、Firebase コンソールでカスタムキーを使用してクラッシュ レポートを検索、フィルタできます。

  • Crashlytics ダッシュボードで、カスタムキーと一致する問題を検索できます。
  • コンソールで特定の問題を確認するには、各イベントに関連付けられているカスタムキーを表示します([キー] サブタブ)。カスタムキーでイベントをフィルタすることもできます(ページ上部にある [フィルタ] メニュー)。

Key-Value ペアを設定するには、setCustomValue メソッドを使用します。次に例を示します。

Swift

// Set int_key to 100.
Crashlytics.crashlytics().setCustomValue(100, forKey: "int_key")

// Set str_key to "hello".
Crashlytics.crashlytics().setCustomValue("hello", forKey: "str_key")

Objective-C

整数、ブール値、浮動小数点数を設定する場合は、@(value) のように値を囲みます。

// Set int_key to 100.
[[FIRCrashlytics crashlytics] setCustomValue:@(100) forKey:@"int_key"];

// Set str_key to "hello".
[[FIRCrashlytics crashlytics] setCustomValue:@"hello" forKey:@"str_key"];

既存のキーの値を変更するには、そのキーを呼び出して別の値を設定します。次に例を示します。

Swift

Crashlytics.crashlytics().setCustomValue(100, forKey: "int_key")

// Set int_key to 50 from 100.
Crashlytics.crashlytics().setCustomValue(50, forKey: "int_key")

Objective-C

[[FIRCrashlytics crashlytics] setCustomValue:@(100) forKey:@"int_key"];

// Set int_key to 50 from 100.
[[FIRCrashlytics crashlytics] setCustomValue:@(50) forKey:@"int_key"];

複数の Key-Value ペアを一括で追加するには、setCustomKeysAndValues メソッドを使用し、NSDictionary を唯一のパラメータとして渡します。

Swift

let keysAndValues = [
                 "string key" : "string value",
                 "string key 2" : "string value 2",
                 "boolean key" : true,
                 "boolean key 2" : false,
                 "float key" : 1.01,
                 "float key 2" : 2.02
                ] as [String : Any]

Crashlytics.crashlytics().setCustomKeysAndValues(keysAndValues)

Objective-C

NSDictionary *keysAndValues =
    @{@"string key" : @"string value",
      @"string key 2" : @"string value 2",
      @"boolean key" : @(YES),
      @"boolean key 2" : @(NO),
      @"float key" : @(1.01),
      @"float key 2" : @(2.02)};

[[FIRCrashlytics crashlytics] setCustomKeysAndValues: keysAndValues];

カスタムログ メッセージを追加する

クラッシュにつながったイベントのコンテキストをさらに詳細に把握するには、カスタム Crashlytics ログをアプリに追加します。Crashlytics はログをクラッシュ データに関連付け、Firebase コンソールの [Crashlytics] ページにある [Logs] タブに表示します。

Swift

log() または log(format:, arguments:) を使用して、問題を特定できるようにします。メッセージを確認できる有用なログ出力を取得するには、log() に渡すオブジェクトが CustomStringConvertible プロパティに準拠している必要があります。log() は、オブジェクトに定義された説明プロパティを返します。次に例を示します。

Crashlytics.crashlytics().log("Higgs-Boson detected! Bailing out…, \(attributesDict)")

.log(format:, arguments:) は、getVaList() の呼び出しから返される値をフォーマットします。次に例を示します。

Crashlytics.crashlytics().log(format: "%@, %@", arguments: getVaList(["Higgs-Boson detected! Bailing out…", attributesDict]))

log() または log(format:, arguments:) の使用方法について詳しくは、Crashlytics のリファレンス ドキュメントをご覧ください。

Objective-C

log または logWithFormat を使用して、問題を特定できるようにします。メッセージを確認できる有用なログ出力を取得するには、いずれかのメソッドに渡すオブジェクトで description インスタンス プロパティをオーバーライドする必要があります。次に例を示します。

[[FIRCrashlytics crashlytics] log:@"Simple string message"];

[[FIRCrashlytics crashlytics] logWithFormat:@"Higgs-Boson detected! Bailing out... %@", attributesDict];

[[FIRCrashlytics crashlytics] logWithFormat:@"Logging a variable argument list %@" arguments:va_list_arg];

loglogWithFormat の使用方法について詳しくは、Crashlytics のリファレンス ドキュメントをご覧ください。

ユーザー ID を設定する

問題を診断する際には、多くの場合、特定のクラッシュがどのユーザーで発生したかを把握すると役立ちます。Crashlytics には、クラッシュ レポート内でユーザーを匿名で識別する手段が用意されています。

レポートにユーザー ID を追加するには、各ユーザーに ID 番号、トークン、またはハッシュ値の形で一意の ID を割り当てます。

Swift

Crashlytics.crashlytics().setUserID("123456789")

Objective-C

[[FIRCrashlytics crashlytics] setUserID:@"123456789"];

ユーザー ID を設定後にクリアする必要が生じた場合は、ID の値を空白の文字列にリセットします。ユーザー ID をクリアしても、既存の Crashlytics レコードが削除されることはありません。ユーザー ID に関連付けられたレコードを削除する必要がある場合は、Firebase サポートにお問い合わせください

オプトイン レポートを有効にする

デフォルトでは、Crashlytics は自動的にアプリの全ユーザーを対象にクラッシュ レポートを収集します。どのデータを送信するかをユーザーが細かく制御できるようにするには、オプトイン レポートを有効にします。これを行うには、自動レポートを無効にし、コード内で選択した場合のみデータを Crashlytics に送信するようにします。

  1. Info.plist ファイル内に新しいキーを追加して、自動収集を無効にします。

    • キー: FirebaseCrashlyticsCollectionEnabled
    • 値: false
  2. 実行時に Crashlytics データ収集オーバーライドを呼び出して、選択したユーザーに対して収集を有効にします。オーバーライド値はアプリが再起動されても維持されるため、Crashlytics は自動的にレポートを収集できます。

    自動クラッシュ レポートを無効にするには、オーバーライド値として false を渡します。false に設定された場合、この新しい値はアプリが次回実行されるまで適用されません。

    Swift

    Crashlytics.crashlytics().setCrashlyticsCollectionEnabled(true)

    Objective-C

    [[FIRCrashlytics crashlytics] setCrashlyticsCollectionEnabled:YES];

クラッシュ分析データを管理する

クラッシュ分析では、匿名化されたスタック トレースと他の Firebase アプリのトレースを比較して、発生した問題がより大きい傾向の一部であるかどうかが通知されるので、問題の解決に役立ちます。また、多くの問題について、クラッシュのデバッグに役立つリソースも提供されます。

クラッシュ分析は、集計されたクラッシュ データを使用して、一般的な安定性の傾向を特定します。アプリのデータを共有しない場合は、Firebase コンソールの Crashlytics 問題リストの最上部にある [クラッシュ分析情報の設定] メニューからクラッシュ分析を無効にできます。